Au Revoir Kyoto vol.2(そういえば鴨川べりを歩かなかった)

京都のお話の続き。


知恩寺の古本市は、正直、買えませんでした、あまり。1968年の「ELLE」誌を200円で拾ったりとか。フランス語、読めないのにね。あと大山定一(ドイツ文学者。『マルテの手記』なんか訳してる)の『作家の歩みについて トオマス・マン覚書』が署名入りで500円。それくらいかな。あ、岩瀬成子さんの『額の中の街』もあった。こう書いてみると、まあまあ、ですね。


善行堂はもちろん、三月書房もガケ書房恵文社も、場所を教えてもらった100000tもロンドンブックスも行きましたけど、いちばん印象に残っているのは、やっぱり「町家古本はんのき」かなあ。基本、女子向き(と、言っていいと思う)のお店ですけど、本に関してわりあい「女子力」入ってる自分としては(!)、とても居心地よくて、店番代わってあげたいくらいでした(嘘)。


町家ってのはやはり、アドバンテージですね、京都のね。でもあの場所、これからもっと日が短くなったら、きっと6時以降は辿り着けないだろうな、一人じゃ。そん時は泣くかもしれない。泣く前に店の人に迎えに来てもらおうっと。



いまふと思い出したんですけど、今回は鴨川べりをまったく歩かなかったのですね。それがどーした、ということではありますが、そんなこと、今までほとんどなかった。だって京都でいちばん好きな場所だし。武田花さんの『季節のしっぽ』とか、村上春樹の『スプートニクの恋人』をあそこで読んだのは、でももう10年以上昔か…… あれ? いったいオレはいま、何歳?


今回、気がついたことの一つに、京都はわりあい、古い店の看板が残っている、ということがありました。開けているのか閉まっているのかよくわからない店も多いし、とうに店じまいしてるんだけど、再開発がなされる気配がまったくなくて、いい按配に朽ちて渋くなってる物件が、随所にありました。いいなあ、ああいうの。


これは妄想なんですけど、日本全国の古い薬局や化粧品店を訪ね歩いて、「捨てないでとってある、昔のポスター、ないですか?」とお願いして、口紅でも基礎化粧品でもいいんですけど、そうやって一軒ずつ周って、1960年代〜80年代あたりのポスターを丹念に集めてみたい、という願望がぼくにはあります。金も時間もないけど、どこかで買ってくれないかしら、この企画。


京都には、たとえば小林麻美のポスター、30枚くらい残っている気がするんですよね(←完全に無根拠)。


写真は、恵文社で買った1971年の「花椿」。500円。71年って8〜9歳くらいですが、デパート行くと、こういう顔の女の人、たしかにいました。あとこの、白地にグリーンのボタン、とうセンス。これ、完全に70年代初期のものですね。明るい色調のグリーンって、たぶん70年代中期から急速にファッションの世界から消えていった実感がありますが、あれってどうしてだろう? いまでも時々考えますが、もちろん、ぜんぜん、答えなんてわかりません。


あー、なにを書きたくて書いてるのかよくわからない、自堕落な文章って楽しいですね。お金いただいたら、こうは行かないですけど。


京都のお話は、あと1回、書きます。


ジュリー・ドワロン(Julie Doiron)『Darkhorse』。