今年は花見もせず。

1週間経ってしまい、4月に入りました。3月は相当温かだったのに、4月に入ったら逆に寒くて、おまけに雨で。


今年は毎年恒例の、野川での花見もなかったなあ。先週、千葉県の木更津のほう、五井という所に仕事で行ったのですが、えんえんと総武線快速に乗っていて、その時に車窓から見た桜が、今年のサクラ、って感じでした。うん、今年のサクラは千葉のサクラ。


  さまざまのこと思ひ出す桜かな


このうえなくシンプルだけど、さすがの芭蕉の一句。ときどき「さまざまな」と言ってる人がいますが、「な」では散文になってしまいます。「の」でなくちゃね。


『IMA』という大判の写真雑誌があるんですが(取次通してないので一部の書店にしかありません。通販推奨みたい)、これがイイんですよ。ヴィヴィアン・マイヤーという写真家を初めてこの雑誌で知ったんですが、彼女のモノクロの写真がすばらしいの。1926年にニューヨークで生まれ、2009年に亡くなっているのだけど、生前はまったくの無名。


と、いうのもこの人、本業が家政婦だったんですね。家政婦としていくつかの家で働きながら、その家の中に現像室を持たせてもらって、ずっと写真を撮り続けていた人。発表する気がまったくなくて、それらはあくまで記録のため、らしいのだけれど、しかし自分自身が写っているセルフポートレイトめいた1枚を見ると、その表情は真剣そのもので、とても「趣味」とは思えないフシもある。


で、ある時、大量のネガが発見され、ささやかなオークションで落とした人がブログで紹介すると…… 


SNSを通じて大反響となり、デンマークノルウェーアメリカなどで個展が開かれて、いずれも長蛇の列、という事態になってゆくわけです。


これね、日本でもやらないかなーと思うんです。街場の市井の人々を撮ったものが多いようですが、ほんとにずっと見ていて飽きないのです。


とてもさびしい晩年を送った人のようで、どうして作品を発表しようとしなかったのか。芸術って何? 表現って何? と考え始めると、アタマがグラグラします。




『IMA』、いい雑誌ですよ。


さて自分はこれから何を書いていきますか。


Nick cave「The Ship Song」。名曲ですなあ。