「BOOKDAYとやま」のこと。

6月28日。今年も母の命日が暮れて行きました。


23日(日)、富山市で開催されたブックイベント「BOOKDAYとやま」に行ってきました。富山県で初めて行われる一箱古本市に加えて、トークイベントを、という趣向の催しで、このトークのゲストとしてお招きいただきました。


「本をつくること、本屋をつくること」と題されたトークの相手は、夏葉社の島田潤一郎さん。一緒に『冬の本』を作った人でもあり、今まさに『本屋図鑑』を製作中の島田さんと、『わたしのブックストア』を書いたぼくとの掛け合いでした。


同じ会場にいた人はいないと思うけど(いや、いた! ますく堂さん!)、西荻ブックマークで話したこととは別のことを、という意識がありました。『本屋図鑑』で47都道府県を回った島田さんが新刊書店を、ぼくが古本屋を、と、そんなふうに役割分担したわけではないけど、ここ1年くらいのあいだに感じたこと、いま思ったり考えたりしていることを話しました。「受け狙いしないでマジメに話そう(笑)」「内輪話みたいのはなし」ということだけをあらかじめ島田さんと決めて、それでも会場の皆さんが温かかったおかげで途中自然にボケたりする場面もあり、時折笑い声も混じる和やかな空気でした。


休憩を挟んで第2部では、金沢のオヨヨ書林・山崎さん、岐阜の徒然舎・廣瀬さん、京都の「町家はんのき」と古書ダンデライオンをやっている中村さんと、現役の若手古書店主3人も加わって、5人でにぎやかに。


後半は自然とぼくが司会のようなカタチになり、3人がどんなお店をどんな気持ちでやっているか、話を引き出す役目に。少し時間が足りない気もしたけれど、それでも予定を15分ほどオーバーしての盛況のいちにちでした。


話してて思ったけれど、自分がしゃべることも楽しいんだけど、人がリラックスして話ができるように、そしてそれがお客さんにちゃんと伝わっているかどうか、会場の空気があったまっているかどうかをその時々で判断して、じゃあ次はどんな話の展開にしようかとか、1人に話が集中しすぎないようにするにはどうしたらいいかとか、そういう、複数の人が対話する場の動きや流れを調整したり、思いがけない新たな流れを作り出したり、そういう役割を担うことのほうが好きかもしれないなあ、と感じていました。


そもそも人前に出てしゃべる柄ではないし、立て板に水、というタイプでもないので、なんというか、おもしろい話が生まれるための産婆役、というのが自分には合っている気がしました。


65名くらいのお客さん、しかも東京ではない、富山という未知の土地(そもそも富山は初めてでした)で、たかだか1冊本を書いたり編集しただけの人間を呼んでくれて、交通費に宿泊代、ギャラまで出してくださった主催者の方、古本ブックエンドの石橋さんと山崎さん(オヨヨ書林の山崎さんはブックエンドの共同経営者)にはほんとうに感謝しています。


トークが終わったあとはサイン(!)したり、北日本新聞社の方から取材(!)されたりして、ほんと、わが華麗なる栄光の1日(笑)。


打ち上げのこととか出合った人のこととか古本ブックエンドというお店のすばらしさとか、富山の町のこととか、そのあたりのことはまた後日。


Jason Mraz - 93 Million Mile です。

大阪飛ばして神戸、京都

先週末は神戸と京都に行ってきました。どっちも取材です。神戸はパン屋さん。京都は精神科医。いやはや、ライターの仕事っておもしろい。不思議。疲れる。


神戸は須磨区というところ。けっこう西のほうですね。須磨・明石の、あの須磨ですよ。神戸全体がそうですが、須磨はとりわけ目の前が海、すぐ後ろには山が迫っていて、町全体に坂道が多い。須磨寺商店街はほんとに昔ながらの個人商店街の小さな通りで、取材したパン屋さん(昭和6年創業)も良かったけど、お昼に入った定食屋も良かったなあ。


仕事の後は三宮から元町に出て、ちんき堂トンカ書店海文堂書店と。まったく、本屋しか行くとこないのかね。さいきん、さすがにそれは貧しいなと思っているのですけどね。しかし次の日が朝早かったのでこの日じゅうに京都に移動しなければならず、これはまあ、仕方ない。



海文堂書店では、発売から半年以上経っているのに、『わたしのブックストア』は、いい所に平積みでした。ありがたい。「神戸の本」のコーナーに村上春樹の『風の歌を聴け』と『神の子供たちはみな踊る』の文庫本がささっていたのが印象的でした。村上春樹って芦屋出身ですけど、でもこれは地元の作家だからではなく、この2作品の舞台が神戸だから。なるほどね、と思いました。講談社文庫の『風の歌を聴け』のカバーは、元の単行本のそれに戻りましたけど、あの佐々木マキのイラスト、明らかに神戸の倉庫街を描いたものですよね。うーん、なんかやっぱり、神戸って風を感じます。横浜と鎌倉が一緒になったような、でもちょっと違うような。


翌日の京都は「サンデー毎日」のインタビューで、詳細は発売の頃に。まだけっこう先です。京阪電車沿線での取材でした。恵文社だけは行ったのですけど、ノンビリしていたらあっという間に時間がなくなって、善行堂もなにも、行けませんでした。


17時台の新幹線に乗って東京に戻り、しかしそのまま阿佐ヶ谷には帰らず、西荻の風神亭での飲み会に大きな荷物抱えたまま遅れて参加。ライター・編集者の北沢夏音さんを中心に、編集者やライターら8人くらいの飲み会で、初対面の人が半分くらい。あれこれ企画の話なども出て……


けっきょく終電まで粘ってしまい、家にたどり着いた時にはクタクタで、倒れるように布団へ。いやしかし、体力なくなったなあ。ヤバいなあ。ジョギングとかしますかねえ。


仕事も溜まりに溜まって、しかし今週日曜日は富山のブックイベント「BOOKDAYとやま」へ。夏葉社・島田さんとトークなどしてきます。


ふだん、地味で動きの少ない自分としては、比較的華麗な(笑)6月であります。


佐野元春「情けない週末」。大学の時、よく聴いてました。

6月は西へ北へ

降りませんねー、雨。パラパラッと来ても1時間も持たず。水不足とか、だいじょうぶでしょうか。


6月はこれから、わりと移動が多くなりそうです。と、いっても、自分としては、ですが。毎月あちこち飛び回っている人から見たら、微々たる距離ですね。14日(金)にパン屋さんの取材(そんな仕事もしてるんですよー)で神戸へ。もしかしたら翌日か前日に大阪で「サン毎」のインタビューがあるかもしれません。そして23日(日)は「BOOK DAY とやま」で富山へ。


みちくさ市で30冊くらい売っても焼け石に水で、収集がつかなくなっているので、古書展にはなるべく行かないようにしています。でも、どういうわけか新刊書をいろいろ買ってしまう。イーディス・パールマン『双眼鏡からの眺め』とか。佐伯一麦『光の闇』とか。


あとね、山田太一のDVDが欲しくてたまらず、『岸辺のアルバム』や『早春スケッチブック』なんかはもう永久保存版なので値が張るのは承知なんですが、やっぱり2万とか3万とかするので、なかなか、ねえ。ちょっとまとまった入金があるといいんですが。


この土日は大人しく仕事こなしつつ、マッカラーズ『結婚式のメンバー』を読んでいます。「フランキーが十二歳の、緑にむせかえるような狂った夏のことだった」ではじまるこの小説は、夏にはうってつけ。福武文庫版では、訳者の加島祥造さんが『夏の黄昏』ってタイトル付けていますが、ぼくはだんぜん、元の単行本(渥美昭夫訳、入手困難)の『結婚式のメンバー』のほうがイイと思います。原題も THE MEMBER OF THE WEDDING だし。


とまあ、そんなこんなで。


青葉市子&細野晴臣「悲しみのラッキースター

お知らせ、2つ。

梅雨入りしたわりに雨降らないですねー。


BRUTUS」で「古本屋好き。」が出まして、話題になっています。古本ではなく古本屋の特集にしたところがソソりますね。友人、知人の多くの人が買っている様子。むろん、ぼくも。


北條さんは書いてないの? と、何回か聞かれました。書いてないんですよ、残念ながら! こういうところに呼ばれないとライターとしてマズいと思うんですよね。そういうこと、気になりますよ、気にしてますよ、もちろん。南陀楼さんなんかいっぱい出てるもんね。さすがミスター一箱古本市。でもまあ、岡崎さんも書いてないし、魚雷さんだって出てこないし、と、そんな安心の仕方でいいのかしらん? 阿佐ヶ谷のonakasuitaさんのはにかんだ笑顔がステキです。


で、気を取り直してお知らせ2つ。


(1)『生活考察』Vol.04刊行記念ブックフェア 「“食”本考察」

雑誌『生活考察』の4号刊行を記念して、東京・吉祥寺のジュンク堂書店吉祥寺店で、「“食”本考察」なるブックフェアが開かれています。これは、「食」にまつまる本を1人1冊選び、コメント付きで並べたもの。当初はこの雑誌の執筆者のセレクトが並んでいたのですが、新たに追加で「ゲスト枠」というのが20人分できまして、ここに参加させてもらいました。


なんだかすごいメンバーの中に入れてもらって気後れしてしまいます。ぼくが選んだ本は…… 見てのお楽しみ。と、もったいぶってもしょうがない、片岡義男さんの『真夜中のセロリの茎』(左右社)。片岡さんの本は実は岡崎さんも『洋食屋から歩いて5分』(東京書籍)を選んでいて、これはもちろん示し合わせたわけではなく、偶然です。『洋食屋……』はエッセイ集で、『真夜中……』は短篇小説集ですから、まあ、ぼくのほうが変化球かな? 6月30日までやっていますから、吉祥寺に行かれた際はぜひ。
http://d.hatena.ne.jp/fiddle-stick/20130601


(2)BOOK DAY とやま トークショー

6月23日(日)、富山市で「BOOK DAY とやま」という本のイベントが開催されます。富山で初の一箱古本市トークショーが行われますが、ここに、夏葉社の島田潤一郎さんとぼくと2人、トークゲストとしてお招きいただきました。呼んでくださったのは、あのオヨヨ書林・山崎さんと一緒に古書店ブックエンドを営んでおられる石橋奨さん。石橋さんは高岡市で上関文庫というお店もやられていて、山崎さん、石橋さんとも複数店舗をいったいどうやって維持してるの? と思ってしまいます。

当日は、夏葉社鋭意製作中の『本屋図鑑』の話をはじめ、『冬の本』や『わたしのブックストア』の話、全国の書店の話をいろいろと。トークの後半ではオヨヨさんや徒然舎さんやダンデライオンさんも加わってにぎやかにやる予定です。

富山の方、北陸や近隣の方はぜひ! 京都あたりからだと意外と近いのかなあ。名古屋とか。岐阜とか。とにかくよろしくお願いします。ブログやツイッターで言えないような話もしますよー。
http://bookdaytoyama.net/



6月はとにかく、原稿を書きまくる予定です。やらねば!


The Pastels 「Check My Heart」。

なんたって山田太一

東京蚤の市に行きましたよー なんてことを書こうと思っていたらまたたく間に日々はピューッと過ぎてしまい……


なんですって、もう梅雨入りってホント? まだ5月よ。今年はサクラも入梅も早いすなー。




河出の「文藝」別冊(KAWADE夢ムック)で「総特集 山田太一 テレビから聴こえたアフォリズム」が出ました。これね、相当売れてますよ。どこの本屋でも、平積みの段が低くなってます。比べるのもどうかと思いつつ書いてしまいますが、同じくこのシリーズで「大島渚」も同時刊行で出たんですが、ぼくが見た書店(5つくらい)のすべてにおいて、「山田太一」のほうがダントツ売れています。


思うに大島渚監督の場合は、著作集も出たし、他にいろいろ言及されている、ということがあるのかもしれません。対して山田太一の場合は、無意識のポテンシャルが、みんなの中にあったのかなあ。書き下ろしエッセイ、インタビュー、対談、年譜、アルバムなどなど、内容がまたすごく充実していて見事です。


で、これを作った(編集した)のが清田麻衣子さんという30代半ばの女性なんですが、最近、一人出版社・里山社を立ち上げたばかり! ぼくはたまたま知り合う機会があり、少しお話したりもしたので、この本、いただいてしまいました。



山田太一本はあくまで個人のお仕事で里山社の刊行物はこれから、なのですが、その門出を祝って、勝手に宣伝しておきます! ああ、もうちょっと早く清田さんと知りあっていればなあ、「オレにもやらせて」って言えたのになあ。残念至極。これを機会にDVD新発売とかね、一気にそういう機運が盛り上がらないかしらん。



門出といえば今月25日、東京・江東区の森下に「古書ほんの木」がオープンしましたね。古ツアさんは当然のごとく、初日に行ってますね。森下・清澄白河界隈、ますます盛り上がっておりますねー。
http://honnokibooks.com/


えー、あといくつか書きたいこと、お知らせがあるのだけど、とっちらかっているので明日以降にします。


SHE&HIM 「Never wanted your love」。ポップミュージックは永遠です。

あじさいの絵を買う。


夏ですね。夏が来ました。来てしまいました。



このところ、今日まで、とか、明日まで、といった火急的仕事がなく、ちょっとノンビリしています。というか、ダラけているというべきか。


21日は目白のブックギャラリーポポタムさんで、武藤良子さんの個展「虫干し展」を見てきました。額装された絵もあるんだけど、多くの絵が洗濯バサミみたいので「干して」あるという展示の仕方で、まあそう構えずに絵を見てくださいよ、という感じ。


今回はほとんどが花の絵で、一目見て武藤さんの絵とわかるものもあるんだけど、いつもとは違うタッチの絵が多くて、それが新鮮で、そこに反応した人が多いみたい。「ムトーあんな絵も描けるんだな」って反応が多すぎると、ご本人は少々閉口しておりましたが。


で、1枚買ってみたんです。額に入った絵はさすがに買えなくて、ペラでかかっているものから1点。4千円だったし。


スッキリシンプルな、あじさいの絵。額を買ってこなきゃ、と思っているのだけどまだ買っていないので、ペラのままで写真載っけてみました。絵を買うって、なんかイイですね。そうそうメッタにできることじゃないけど。だからいいのかな。





GW明けたら、なんか読みたい本がいっぱい本屋に並んで、うれしいけど困りますね。石井桃子さんの生活随筆集とかね。


で、きょう、郵便受けになんか重い荷物が…… と思ったら、『野呂邦暢小説集成第1巻 棕櫚の葉を風にそよがせよ』が入っていました! うれしい! なんでぼくごときの所に送ってくれたのかというと、版元の文遊社さんとちょっと面識がありまして、この小説集成(全8巻です)の話を興奮して聞いたことがあるからです。


本屋さんには5月31日に出ます。装丁もすごくいいんですよ。2800円という定価も、この造り、このページ数なら、だいぶ抑えたほうだと思います。いや、すばらしい。




今週末は、京王閣の「東京蚤の市」や、川口で「一箱古本市」もありますね。ぼくは明日、東京蚤の市に行ってみようと思います。でもあれ、けっこう1人で行くと淋しいんだよね。食べものの所に行列ができるのもちょっとシンドい。会場の雰囲気はとてもいいんですけどね。




踊ってばかりの国(←バンド名です)の「話はない」が最近すごく好きでここに貼りたかったんだけど、なぜかできないみたいなので、URLだけつけておきます。ほんと、なんかすごい独特で、甘美なんだから。聴いてみてください。
http://www.youtube.com/watch?NR=1&feature=endscreen&v=WO9ARlM-Exw

みちくさ市へのご来店、ありがとうございました。

19日(日)は、みちくさ市でした。雨降らないどころか実に上天気で、ラッキー。しかも、終わった頃になってちょっとパラパラ降ってきたりして、ますますラッキー。でありました。


ぼくは52冊持っていって、売れたのが30冊。1万4千円くらい。『わたしのブックストア』は8冊持って行って半分の4冊をお買い上げいただき、合計でどうにか2万円超え。どうにもパッとしない気もしますが、まあ、こんなもんでしょうかね。ぜいたく言ったらキリがありません。


反省点としては、やっぱり準備不足というか、並べてみるといかにも本が少ないなー、と感じたこと。少ないとちょっと貧相に感じます。


火星の庭の前野さんとも話せたし、ハヅキちゃんがぼくの本、買ってくれたのもうれしかった。その他、ちょいお久しぶりの方々がたくさん。買ってくださった皆さん、軒下を貸してくださったキク薬局さん、わめぞスタッフの皆さん、ありがとうございました。とても楽しい一日でした。



打ち上げに行こうかという気もあったのですけど、大荷物抱えていたのと、やはりけっこう疲れてしまったのでパス。帰り、目白駅構内で、隣同士で出店していた岡崎武志さん、それから同じく出店者の大学生コンビ2人と4人で軽くお茶して解散。大学生(女子)のIさんは、ぼくのところから井上究一郎の『ガリマールの家』を買ってくれて、「図書館で読んですごく好きだったので」とのこと。ヴァレリーラルボーなんかも読むらしい。すごいや。あとでお母さんの年齢聞いたら、ぼくより2つ年下! いやはや。そういう歳になってしまったのですねえ。




今週は雨の月曜日からスタートで、いくらかどんより気分の人も多いのでは? でも明日からまた、気温も高くなるようで、あともうすぐで、梅雨がやってきます。




きょう読み終えたのは、『カコちゃんが語る植田昭治の写真と生活』。すごくイイ本で、これは企画者であり取材、執筆を担当された金丸裕子さんのお手柄でありましょう(著者は、植田昭治の長女の増谷和子さん。この方が「カコちゃん」であります)。




くるりの「男の子と女の子」。曲も詞もすばらしいですが、このPVがほんとにぼくは好きで。カメラが対象に寄り過ぎないこの「中景」のセンス。被写体に対してどういう指示を出せばこういう画が撮れるのか。「ギターを持った女の子っていいなあ」と、ここまで思わせてくれる映像はなかなかありません。植田昭治の本に触れたから言うわけじゃありませんが、これ、写真ではできないことをやっていると思うんですよ。動画の力ね。短いので、ぜひ見てみてください。